ゲンジは師匠って決めてました。
営利目的じゃないので著作権等々大丈夫ですよね?
いつも通る道。今日に限って嫌な感覚があった。街路灯の下に花が手向けられている。
入りますよ。
開いてるよ。
知ってます。鍵、かけましょうよ。
街路灯の下に人影が見えたんです。花束が置いてあったから、事故があったのかと。
人影?へえ。
何度も通っている場所なのに、見たのは初めてです。
花って、こんなのもなかったか。
パンジーですか? あったかも。あの幽霊は何です?
違う違う。あれは幽霊じゃないよ。僕の師匠の研究で、僕が引き継いだ。
研究?
あの花は、僕が置いてる。枯れたら、新しい花を。人目につかない時を選んで。
ある日、知らない花が置いてあった。お菓子も置かれるようになった。そして、人々は。
噂するようになった。事故が、あったらしいと。人々の心に、死者がうまれた。
おかしいです。俺は、見えたから事故があったのかと思ったんですよ。
感染したんだ。
あれは、人の心から滲み出たウィルスなのか。
だから、研究を続ける価値があるんだ。
花の件から季節が変わった頃。山奥の一軒家に連れて来られた。隠れ家だそうだ。
収集物は、ここに置いているらしい。
この家の持ち主は失踪したんだ。書置きをして。
『地下室にいる』。書置きを気に入ってこの家を買った今の家主から、借りてるんだ。
共同の物置だな。僕の収集品はその地下室にある。さあ、行くか。
師匠の秘蔵品を拝む勇気はなかった。かなりたってから、家を買った今の家主に会った。
書置きか。興味深いよね。あの家には地下室なんてないんだから。
…えっ…!